店の紫の暖簾をくぐると、カープ坊やのフロアーマットが目に入って来る。広島県人はそこでお店の信頼感がグッと上がる。店の真ん中に鉄板があり、カウンターが5席、テーブル席が1つあり、壁には松岡さんの趣味であるプロレスのポスターとゴルフのカレンダーが貼ってある。お店は古いけど整理整頓してあって心地が良い。松岡さんが「もり」を継いですぐは、先代、先先代の味を求めて来るお客さん達に味を比較されたり、店を守って行かなくてはと言うプレッシャーで、三年ほど悩んだ時期があった。その三年間は自分の味、自分らしさを追求する毎日だったと言う。ある時、お客さんに松岡さんの作るお好み焼きが「ぶちうまいわー」と言って貰い、今まで悩んでいた事がバカバカしくなった。自分の作るお好み焼きが美味しいと言ってくれる人の為に作れば良いのだと思ったら、気が晴れ、お店も上手く回りだした。それからは、お好み焼きを焼くのが楽しくて楽しくて天職だと思うようになった。今年でお好み焼きを焼き始めて18年目になり、麺をオリジナルで作ったり、冷凍お好み焼きの販売、ソースを開発したりと、自分らしさに拍車がかかってきて、ますますお好み焼き屋が楽しくなってきたと松岡さん。